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箱庭<灰色と死神>]T

彼女が腕を振るうと死の鎌は蛇のようにしなやかにうねる。

それに絡め取られた緑の髪が、花びらに姿を変え、泡沫<うたかた>の幻のように消滅した。

空を揺るがすような悲鳴が上がった。

水の精霊が生み出した盾が、緑の精霊と死神を隔てた。

透明な盾を挟んで、交差する緑と赤の瞳。
寒気を感じるほどの、殺気が、その場に生まれた。

『緑の方様!お静まり下さい!』

『おかしな事を、水殿。友を傷つけ、我の愛し子の命をも脅かすモノを前にしてか?』

緑の瞳の奥で、憎悪がちらついていた。
かつて、こんなにもまざまざとした感情を、彼から向けられた事があっただろうか。

生まれ落ちた日の……ワタシの産声を止めるためにこの喉を貫いた、あの瞬間の嫌悪さえも遥かに凌ぐ、深く冷たい殺意。

砂が混ざった地から芽吹く、儚い草花の命を靴の底で枯らしながら、黒い大鎌を構えた死神は唇を開いた。

「灰色様……いえ。緑の木の精霊よ。神は確かにあなたを赦された。しかし、あなたの犯した罪は償い切れぬほどに大きい。いつか、あなたが歪めた魂が世界の敵になるならば、ワタシ<死神>は己の使命を全うするために、あなた方を滅します」『己の意志ももたぬ神の人形ごときが、我を滅するだと?よくぞほざいた!人形ごときに、灰色の名を持つモノを滅することが出来るか、今試してみるがいい』

水の精霊を押しのけ、片手に生み出した光の刃を握りしめながら緑の精霊が一歩を踏みだしたその時。

「止めて!バルサさま」

木の根で作られた守りの結界の中で、少年が叫んだ。

空を抱いた瞳が、涙の向こうで揺れていた。ぽたぽたと地面に落ちた水が、地を濡らした。

金色の髪が揺れて、きらきらと輝く。ああ、まるで光の子ではないか。



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箱庭<灰色と死神>]

幼い少年の背に黒い刃を振り下ろした事は、まるで遠い世界の出来事のようだった。

風がおきた。
地を割って天に伸び、少年の身体を庇うように包んでいるモノは、大樹の根だった。

水の精霊が水の盾をつくりながら、緑の精霊を守るように立ちふさがった。

青い空色の瞳が、悲しみと恐怖を宿しながら揺れている。

「風様!」

駆け出そうとする小さな身体を、大樹の根が遮った。
地に、風の精霊が倒れていた。少年を庇って、死の鎌に貫かれた精霊が、消滅の苦しみに喘いでいる。その向こうで、瞳に怒りを宿した緑の精霊が己の敵を見ていた。

『これは、双子の意志か?死神よ』

緑の精霊の声音は地を這うほどに低く、それは死神だけではなく傍らの少年までも怯えさせた。

ワタシは。

『こたえよ。私の罪を許す代わりに、我が愛し子の命を奪えと、そう命じたか?』

あれらがそう命じたのか。

冷たい怒りの声音が、ワタシを貫いた。

ワタシは。ワタシは何故。

死神は数歩後ずさり、まるでこの世に生まれ落ちたあの日のように、その心を恐怖と混乱に満たしていた。

灰色の、緑の瞳が、眼前に迫った。

死神姫の細い首を片手で締め上げながら、緑の精霊は憎悪と怒気を含んだ瞳で、彼女を睨みつけた。


『これが双子の意志ならば、あれ等に伝えよ。「我はこの先、この身と魂のすべてをかけて、愛し子を守だろう。世界と対立する事になろうとも、我が意思は揺るがぬ」
死神よ。二度と、我が友と愛し子に近づくな。我のモノに害をなすならば、世の果てまででも追い詰めて、貴様を消し去ってくれよう』


世界と対立しても……。

それほどまでに、その惰弱な魂が大切なのですか?灰色様。

全てを失ってもかまわないほどに?

訊くまでもない、答えはすでに示されていた。
灰色は、罪を犯した。双子の創り手がそれを赦そうとも、事実は覆せない。

心臓の代わりに、少年を生かし続ける緑の光。それが罪。それこそが、彼がヒトを愛した証でもあった。

「ワタシは、死を、司るモノよ」

死神は緑の精霊の冷たい掌の中で喘ぎながら、それでも確かにそう言った。

これは、ワタシの意志だと。




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箱庭<灰色と死神>\

風や水の精霊の、嫌悪が混じった視線は特に気にならなかったが、灰色の言動や態度はワタシの心を揺さぶった。
ああ。もう早くこの場から立ち去ってしまおうと、彼らに背を向けて一本踏み出したその時だった。

「精霊さまー!緑の精霊さまー!」

空を閉じこめたような青を瞳に宿し、光に包まれたひとりの幼い子どもが、息を乱して走ってくる。

ワタシはその子どもの胸のあたりで、鈍く輝く光を凝視した。
心臓の上。
チカチカと点滅する光。

子どもから、生きている生物の音。心音は聞こえない。止まったままのそれの変わりに、緑の光が輝ていた。

『こら。走ってはいけないよ』
少年を迎えるために、緑の精霊はふわりと地に降りた。

竪琴を抱えた少年は死神の横を駆け抜けて、大樹の前で止まった。頬を薄紅に染め、不安と焦りが綯い交ぜになった顔で緑の精霊を見上げた。

風の精霊はにっかりと笑い少年に挨拶をし、水の精霊はすっと彼らから距離をとった。
死神の目には少年の背中と灰色の顔しか、うつっていない。



この少年が。
灰色様の特別なの?




憧れて羨(うらや)んだ灰色が、決してヒトを愛そうとはしなかった彼が、世界を敵に回しても守ったもの。

すぐ側に彼らはいるのに、彼らの声は聞こえない。世界から音が消えていた。自分の心音だけが、ドクドクとうるさかった。そして、灰色が、笑った。

慈しむような、切なげな、愛しさの溢れる眼差しで、ふわりと、笑った。



衝動に死神姫は我を忘れた。

いったい何が彼女をそうさせたのかは誰にも分からない。彼女自身にも分からなかった。けれども死の鎌は確かに彼女の手の中にあって、哀れな死神は衝動の赴くままに腕を動かしていた。




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さて、どうしようか

生きてました。
生存確認だけの記事ばかりになりそうだ。いやいや。

頑張って、小説あぷします。

一つぐらい、物語にピリオドを打たなければ。頑張ろう。

生存確認

いち

生きてます





とりあえず、呼吸はしてます


さん

ぶっちゃけ毎日なにやってんだオレ状態です



よん

ガチで冬眠したい!





うん。とりあえず、生存確認でした←



ろく

そろそろ小説もどきも書きたい


なな

やっべ。くしゃみと鼻水がやっべ。ついでに吐きそー



はち


健康診断まで秒読みです



きゅー

あ。鼻詰まって、鼻呼吸できなくなった。でも生きる!
いや、無理か



じゅー


とりあえず、生存確認(二回目)の為の10の主張でした
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