大好きな人が、こんな私にもいました。
その人は私の友達が好きでした
その友達は彼の友達と付き合いました…
そんな彼の相談に乗りながら…醜い私に好機が訪れました。
たまには私の相談に乗る、といった彼と会うことになりました。
公園で彼と眺めた夜空は綺麗でした。いつも以上に綺麗に思えました。
彼は、私を好きだと…愛してると言ってくれました。
どれほどその言葉を望んだことか。どれほどその言葉が欲しかったことか。
最初で最後の彼とのキス。
それだけで世界一幸せな人間になれました。
…だけど、疑い深い私は、彼のその言葉を信じきれませんでした。
そう言っても、貴方が見ているのはあの子だけ…と。
自分に言い聞かせて、私はそれに頷きませんでした…
どれほど、泣いたことか。
今日のことも、自分のことも忘れてくれと言われた時に、私の判断は間違ってはいなかったと
安心したとともに、絶望しました。
彼は、友達のときには
何度振られても諦めはしなかったから…
嗚呼、やっぱり私は間違ってなかったと自分に言い聞かせながらも泣いた。
毎日思い出す度に泣いていたのが
数日置きに。
数ヵ月置きに…それからは涙することはなくなった。
忘れてはいないけれど、それでも泣くことはなくなった
そうやって、知った。
人はこうやって、痛みを忘れてゆくのだと…
人は忘れていく生き物だから。
哀しいあの日も、楽しかったあの日も。
そうやって忘れていく生き物なんだと
もう少しで、また1つ歳をとる。
それを寂しく思う…
振り返って見える過去は、楽しいものばかりじゃないけど…楽しかった過去が遠退くことが悲しくて寂しくて…怖い。
年を重ねるごとに、季節が巡る度に、遠退くその記憶が色褪せていってしまう。
どんどんこの手から離れてしまう。
そう感じて、寂しく思う。
時間が止まればいい――
大好きな人たちと、何の不安もなく
笑っていられたあの世界で…
永遠に止まれば、ずっと幸せなのにな。
"それ"が
嘘偽りのない愛だって
人はどうやって判断しているんだろう…
自分に優しくしてくれるから?
キスするから?
抱き合うから?
愛の言葉を囁き合うから?
…それだけで
それが真実で嘘偽りのない愛だと
盲目的に信じられるの…?
目を、背けてきた。
そういうものから。
だってきっと貴方は私から離れていってしまうから、と
きっと初めから私は諦めてきていた。
だってわからない。
どれが愛なのか、とか
どれが真実でどれが嘘偽りのない愛なのか…
その判断が出来ない私だから…
なのに、愛を伴う幸せが欲しくて仕方ない…