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確実で明確






知りたかった。



聞いただけじゃ足りなくて…


確実で明確な答えが

欲しかった。






たとえそれが


自分自身を酷く、傷付けるものだとしても…



傷付いて、知って…

そうして私は

何を手にするのだろうか

知らなかった私。





盲目的に、愛を恋を


信じていた時が、こんな私にも


あった…



だけど、今思えばそれは


理性もなにもない、


ただの本能だけでの


恋愛、とはいえないものだった


もっと、理性的で


もっと、冷静な恋愛であった。


怖かったのだ

畏れていたのだ


理性を無くした恋愛、というものが



本能的に、感情的にする

恋愛が酷く恐ろしかった。


その人を失ってしまった後に


自分がどうなるのか、


わからないから恐ろしかった。




だけど…盲目的に信じられなくなった今、


もっと感情に溺れてしまえば

よかった、と

思う。



なりふりかわまず

情けなくたって

みっともなくたって


胸を張って、

この人を愛しているのだと

叫べるような恋愛を

しておけばよかったと

心底、思う。



もう、これから先

きっと私はそんな恋愛など

できやしないだろうと悟る。



父と母の間に、いつの日か

確かにあっただろう

愛も、恋も、失ってしまった様を

誰よりも近くで見た私は

きっと何も信じられない。



何時だって、理由を探してしまうような

こんな女、誰も愛してはくれないだろうし…




私は、愛のそばにいて

愛から1番、遠い所にいるのかもしれない

叫び






理解してよ、寂しい私を。



押し付けないでよ、自分の理想を。




いつも、そう心の中で

叫び続けていた。



ねぇ…私を見て?ちゃんと見て?

気付いて…もう辛いの、って


何度も何度も、助けて欲しくて…



辛かったね、ただそう言って欲しくて
ただ抱きしめて欲しくて。



愛される、あの人が羨ましかった。


私もただ、あの人と同じように
愛されたかった。



気付いて気付いて
ちゃんと見てこっちを見て
ほんの少しでいいから…



そんな些細な願いすら、母には届かなかった。誰にも、届かなかった。



月は偉いね。月はなんでも一人でできるのね。月はしっかりしてるから一人で大丈夫ね。


違う。違うの…

偉くなんかない
一人は嫌い
しっかりなんかしてないの
一人で大丈夫なんかじゃないの



何度、この言葉を飲み込んだことだろう…


だから、諦めた。



信じることを。願うことを。求めることを。


もう、きっとあの人は何にもしてくれないのだから…


信じても、願っても、求めても…
叶うことがないのなら

私は何も信じない。



愛なんてもの、この世界にはないのだ。
どこにもないのだ。

そんなもの…ただの虚像。


信じても、裏切られる。



ねぇ…もしもあなたが、私の気持ちに気付いてくれていたならば
幼い私を抱きしめてくれていたならば

今、何か変わっていただろうか。



いや…たらればを考えたところで、もう何も変わらないのだ。




生まれてきてしまった私。
この罪に対する罰こそ、今の私には唯一の救い。

"彼"





彼は、いつも意味深な言葉を
私に呟く。




それは時に助言であり、時に謎であり
時には、ただの意地悪だったりする




神出鬼没な彼。


だけど、それはどうだっていい



私自身にとって
たいした障害にならなければ
たいして気にかける程のものでもなかった



そんな彼はある日、言いました。

「君はいつまでそうしてるつもりですか」と…



「君が求めてるものは…いや、誰かが求めてるものは、案外目の前に転がっているかもしれませんよ?」と…



最初の言葉の意味は、わかる。


いつまでそうやって、馬鹿なふりをしているのかって


いつまでそうやって、見ないふりをして逃げているのかって意味だろう。




だけど…二つ目の言葉の意味はわからなかった。



そもそも、私が何を求めているのかすら、私は私を理解していなかったし、自分ですらわからない事を、他人がわかるわけもない。





それは何?
と、なんでも質問して、答えをもらえるのは、子供だけ。


だからこそ、私はその問いを出来なかった。




今でも、わからないことばかり。


真実を手に入れた私が、どう振る舞うべきか、どう行動するべきか…何一つ、わからないのだ。




真実を与えたその人は、一体何故私にそれを与えたのだろうか…


無力で、ただの所有物でしかない私に、どうしろといいたかったのか…




その答えを探すのは、砂漠で砂金を見付けろ、と言われたようなものだ

盲目的







盲目的に、運命だとか

恋だとか愛だとか


信じるには

あたしは知りすぎたのかもしれない




だけど、なによりも

誰よりも求めているのは

私自身、だった…
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