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言葉の裏



おもいのたけをこめて、きみに花束をおくろう




という文章を読んで、あなたは「ああ、愛しい恋人に花を贈りたいのかな」と思いますか?
それとも「どんな気持ちを込めてどんな意図で花を渡すつもりなのだろう、そもそもこれは恋人に対してなのか、それとも一方的な想いなのか」という所まで深読みしますか?


わたしはどちらかと言うと深読みする側です。
ですが心が健全(=おめでたい頭状態、つまりただのパー)ならば、前者を選びます。つまり、読む文章に自分の精神状態を勝手に反映させている訳ですね。

詩を書く、文章を書くにあたり、選び取った単語を多角的に見る作業はとても大切だと思います。
勿論、日常生活の中でも大切です。

言葉に出して直接「愛してる」と伝える事で、自分の気持ちがきちんと伝わっているかと言えば、そうでもない。「愛してるという言葉の裏に何が隠されているのだろう」などという深読みは、極力しないでいたいものです。
あ、これ飽くまでもただの例なので、わたしはこねこちゃんに「愛してる」と言われると奇声をあげて喜びを露わにします。深読み?なにそれおいしいの?っていうか。完全に舞い上がってますね。
あーこねこちゃんチョーキャワユイ。



人の言葉の裏を読むなんてのは、良くない癖です。
一度癖になるともう元のように人を信用する事が出来なくなります。
そして、自らも言葉の裏に何かを隠す様になる。
本当に、良くない癖です。

そんな風にしないと生きていけないほど、日本は危険な国でもないとは思う。でも他人なんか信用ならない。信用したくないから、表情や言葉のはしばしから裏を読みとろうとして、読み取れたつもりになって勝手に安堵している。
本当に、良くない癖だ。



梅雨空けを願う心(仮)【SS】

夕焼けがひどく眩しくて、ふと立ち止まって空を眺めた。
あまりに残酷な色を湛(たた)えた空は、世界を溶かし尽くして飲み込んでしまうかの様に見える。

──このまま、何もかも溶けて無くなってしまえば良い。

緋色に輝く球体が少量の雲に遮られ、光が弱まった。
額から、首筋から、背中から、音も無く汗が伝う。
何故か不安な気持ちに駆られ、僕は早足で歩き始めた。
僅かにちらつく光の残滓で、僕の視界は不明瞭だ。
それでも人気の無い裏路地を歩くには事足りる。
今日の仕事を終えた僕にはこれと言って予定も無く、僕の足は真っ直ぐに帰路を辿っていた。
もう夕方と呼べる時間ではないのに、空はまだ明るい。
日中溜め込まれた蒸し暑い空気を巻き込んだ風が、頬を掠めていった。

まだ夏は、来ていない。



駅から裏道を駆使し10分程歩けば家に着く。
こじんまりとしたアパートだ。
一人暮らしだが、入る際にはただいまと一言発する事にしている。
そう言った方が防犯対策になるらしい。
同居人も居なければ動物も飼っていないから、最初はその行為が滑稽に感じられた。
しかし毎日繰り返していれば慣れてくるもので、今ではきちんと言わなければ落ち着かないのだから不思議なものだ。






(編集中)

以外ネタバレあり。
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