よく唐突な焦燥感に苛まれる。
心臓が早鐘を打ち、呼吸は乱れ、どうしたらいいのか解らなくなる。
こうなってくると、パニック発作みたいなものに襲われることも偶にある。
呼吸がしづらくなり、何も考えられなくなり、のたうちまわりながらただ不安に耐え忍ぶしか出来なくなる。
もしかしたら不整脈なのかも知れない。
でも多分、これは、
ただの焦燥感。
夕焼けがひどく眩しくて、ふと立ち止まって空を眺めた。
あまりに残酷な色を湛(たた)えた空は、世界を溶かし尽くして飲み込んでしまうかの様に見える。
──このまま、何もかも溶けて無くなってしまえば良い。
緋色に輝く球体が少量の雲に遮られ、光が弱まった。
額から、首筋から、背中から、音も無く汗が伝う。
何故か不安な気持ちに駆られ、僕は早足で歩き始めた。
僅かにちらつく光の残滓で、僕の視界は不明瞭だ。
それでも人気の無い裏路地を歩くには事足りる。
今日の仕事を終えた僕にはこれと言って予定も無く、僕の足は真っ直ぐに帰路を辿っていた。
もう夕方と呼べる時間ではないのに、空はまだ明るい。
日中溜め込まれた蒸し暑い空気を巻き込んだ風が、頬を掠めていった。
まだ夏は、来ていない。
駅から裏道を駆使し10分程歩けば家に着く。
こじんまりとしたアパートだ。
一人暮らしだが、入る際にはただいまと一言発する事にしている。
そう言った方が防犯対策になるらしい。
同居人も居なければ動物も飼っていないから、最初はその行為が滑稽に感じられた。
しかし毎日繰り返していれば慣れてくるもので、今ではきちんと言わなければ落ち着かないのだから不思議なものだ。
(編集中)
以外ネタバレあり。
眼鏡をなくした。
多分、部屋の何処かにはあるだろう。
このまま何も見えなくなればいい。
と言いたいところだが、裸眼でも見えない訳ではない。
愚かなわたし。
状況の変化を恐れて何も出来ない。
それでも責められることには変わりない。
むしろ、周りは変化を求めてる。
決断が怖い。
喪失が怖い訳ではない。
決断に伴う変化が怖い。
いっそ何もかも失ってしまえたら楽かも知れない。
社会的な自分の存在も、
家族も、
友人も、
生命さえも、
何もかも投げ出したい
それはただの逃避でしかないことくらいは解っている
自分を消し去りたい
どうしてわたしは生きているの?
どうしてあんなことをしてしまったの?
後悔したくないから行動した筈なのに、
結局後悔している
生きている限り
何を選んだとしてもどのみち後悔するんだ
もし、とか
でも、とか
そういう言葉に意味はない
必要なのは結果だけ
さあ、
引き金を引こう