桜は、いつも月を見ていた

月に焦がれ、どうしようもない熱情を持て余して
時には走り出したい衝動にさえ駆られた


月は、桜を見下ろす度に考えていた

桜の美しさを伝えるには、どうしたらいいのかを



桜と月は、朝も夜も互いのことばかりを考えて過ごした






桜も月も、
互いが其処に在りさえすれば、それだけで良かったのだ





(厚く御礼申し上げます。)