主人公・古川真也は、物を触るとそこに込められた想いが見えてしまう。
真也の母方の親戚ではよくある事らしく、真也の前は祖母がその能力を持っていた。
初めて真也の能力が開花した時、祖母は勘がキツい子、思い出が見えたんだねぇ。と真也に諭したお陰で、真也はこの能力を気持ち悪いと思う事はなかった。
「見えてしまうことは仕方がないけど、決して自分の欲得の為にこの力を使ってはいけないよ。
でないとお前が不幸になるからね。」
祖母のその言い付けを守っていた真也だったが、勘がキツいので、周りとそつなくこなしてしまう真也は、いつも全力で体当たりをして頑張る同僚・カオルを、羨ましく思っていた。
「どうせ私は一生懸命やるしかないのよ、それしか脳がないんだから。」
ある日、壁にぶち当たった同僚を励ますと、同僚がこんなことを言い出した。
“どうせって言うな。
一生懸命なところを眩しいと思ってるのに、その枕詞にどうせってつけるなよ。”
「あなたに一生懸命ですよってアピールし続けてなくちゃ捨てられちゃうの、あたしみたいな能のない子は。
―――父に捨てられたみたいにね。」『ヒア・カムズ・ザ・サン』
著者
有川浩
発行者
ISBN 978-4103018742
以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでお願いします。