ナツメさんが一人で経営する小さな骨董屋さんでアルバイトをする大学生の主人公は、ナツメさんが苦手とする取引先の天城さん宅に代理で行く様になり、ナツメさんが天城さんを苦手としている事もあり、決して天城さんを得意とする訳ではないが、ナツメさんが可哀相でそれからは主人公が天城さんの元へ遣いに出る事になっていた。
ある日、須永さんが気に入って買った皿を届ける前に主人公の不注意で割ってしまい、ナツメさんは天城さんの所に行って代わりの皿を貰って来る様に言う。「あの人が何か要求するかもしれませんが、決して言う事を聞いてはいけません」お礼は後日、ナツメさんが直接届けると伝えてくれと言われるがまま、主人公は釈然としないが天城さんの家へ向かう。
案の定、主人公にも家にあるヒーターを代わりに欲しいと言った天城さんに、主人公はナツメさんに黙ってヒーターを差し出す。そして須永さんの件は穏便に済むのだが、須永さんはナツメさんのお店にやって来て、嬉しくなかった訳じゃないけど、天城には気を付けろと言うのだ。天城さん本人も言っていたけれど、天城さんはどうやら近所の人からよく思われていないらしい。
ヒーターを返して欲しければ狐のお面を持って来いという天城さんの言葉に促され、主人公はナツメさんから貰った狐のお面を天城さんと物々交換する。その後、ナツメさんの両親が狐のお面をして不吉な死を遂げた事を知り、天城さんから狐のお面を返して貰うのだが、その交換で主人公の彼女の写真を取られてしまった。
何となく嫌な予感がして彼女に何気なく聞いてみると、最近、狐のお面をした男の人をよく見かけるというのだが…。
『きつねのはなし』
著者
森見登美彦
発行者 株式会社新潮社
ISBN 978-4-10-464502-2
以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでお願いします。
橋にまつわる地域住民の生活に根差した短編集。
『橋をめぐる
いつかのきみへ、いつかのぼくへ』
著者
橋本紡
発行者 株式会社文藝春秋
ISBN 978-4-16-327650-2
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在りそうで無い、小さな不思議が大きく膨らんだ様な短編集。
「七階闘争」
一つの市で起こった事件、それは全て七階で起こったものだった。偶々と言えばそれまでの話だが、市長が七階を撤去する事を決定してしまったのだ。
ほどなくして七階に住む森崎の家にやって着た市役所職員の話によれば、七階に住む住人は同じマンションの他の階に空きがあればそちらに、空きがなければ同じ様な条件の部屋に引っ越してほしいというもので、勿論、その際にかかる費用は市が負担するといった話だった。
そう悪い話ではない様に思えたが、一先ず考えますと言い、森崎は同じ会社に勤めている並川さんも七階に住んでいた事を思い出し、並川さんの意見を尋ねたところ、彼女から手渡されたのは七階護持闘争と仰々しく書かれたチラシだったのだ…。
「七階闘争」他、三篇。
『廃墟建築士』
著者 三崎亜記
発行者 株式会社集英社
ISBN 978ー4ー08ー771273ー5
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地域の広報紙に何気なく目を通して知った、となり町との戦争。
一体、何が始まるのか?
となり町と戦争して何の意味があるのか?
次第に巻き込まれていく北原目線の、静かなとなり町戦争。
『となり町戦争』
著者 三崎亜記
発行者 株式会社集英社
ISBN 4ー08ー774740ー9
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この町には十年前の「あの事件」を忘れない住民が居る。
というのも、十年前に突如として消えた三千人の住民は今も尚、第五分館と呼ばれる図書館で本を借り、ラジオ局に葉書でリクエストを出し、消えた場所行きのバスは運行し続けているらしく、町の教会にあった鐘も鳴り響いている。
消えた者と、消えなかった者の変化。
あす
『刻まれない明日』
著者 三崎亜記
発行者 祥伝社
ISBN 978ー4ー396ー63322ー6
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