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――不在だった三番隊に新隊長が就任した。
「あぁもう!思いっきり遅刻じゃんか!!綾瀬川とか起こしてくれれば良かったのに!!」
瞬歩の連用を繰り返しながら、三の文字を背負う少女。
器用に髪を結いながら格隊隊舎の屋根の上を駆けていく
一番隊の門を抜け、隊長が集まる部屋に飛込んだ
「お、っくれました!ぜぇー…はぁ…ごほっ」
「遅いぞ、鈴」
「すいま…せんっ、ガチで寝坊しました!」
「…知らぬ者など居らぬだろうが、新三番隊隊長の白雪鈴じゃ」
息の調子を整え、深呼吸を繰り返してから少女――白雪鈴は背筋を伸ばす。
「元十一番隊四席の白雪鈴です、至らぬ事も多々あると思いますが宜しくお願いします」
ビシッとお辞儀をして周りを見る。
世界が変わった気がした、いつも逃げていた隊長職はやっぱり逃げたくなるような世界なんだろう
勢いで隊長になってしまったけれど人の上に立つことが苦手な私に隊長が勤まるのだろうか。考えただけで気が遠くなりそうだ
「隊長の内6人が推薦。後日、本人に通達、了承を得た。
よって、本日付けで十一番隊四席を三番隊隊長に昇進じゃ」
解散。
その言葉と同時にほとんどの隊長が頑張れと応援の言葉を掛けてくれて部屋を出ていく。
「きーら」
「…隊長」
いざ真面目に顔を合わせるとなんだか気恥ずかしくて互いに苦笑、隣を歩いて三番隊に向かう。
「鈴で良いからね、呼び方」
「でも、隊員に示が…」
「隊長命令でどうにでもなる」
「職権乱用ですよ、それ」
「気にすんな、それ位。あたしの知ってる隊長は仕事せずにあたしに怒られてたし、隊長って呼ぶなとも言ったし、なにより三席だったあたしを隊長専属にしやがった」
「…」
なんでこう周りにはそんな迷惑な隊長ばかりいるんだろうか…
「………何で、皆勝手にどっか行っちゃうのかしら。」
「え?」
「あたしの好きな奴も、親友も、友達も、みーんなどっか行っちゃって、あたしだけ置いてかれて。
遂にはギンまで藍染に着いて行くし」
「……そう、ですね」
市丸隊長は……
表情が暗くなる吉良に、あたしは前を向いて言う
「仕方ないから隊長になってあいつら見返してやるんだから」
「え、そういう理由なんですか?」
「うん」
「…鈴さんは、何年も前から実力も、実績もあったんですよね」
「んー…正直、この100年近く、まともに戦闘に立ってなかったから腕は鈍ってると思うよ。
それに鬼道は壊滅的、白打も斬術も吉良と大して変わらないと思うし…」
「そんなこと……」
「そんだけ吉良が成長したってこと。ほんと、強くなったよ」
「…有難うございます」
「ま、こんなのだけど宜しくお願いします」
「こちらこそ!宜しくお願いします」
――…不在だった三番隊に新隊長が就任した。
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