先週の金曜ロードショーの風立ちぬを見ました。
つらつら感想など追記から。
実はきちんと見たことがなかったのです、風立ちぬ。
なんちゃってミリオタのくせにとおもわれそうですが、なんやかんやでタイミングを逃してしまいがちだったんですよね。
それで今日、ゆっくりと見てみました。
…いやあ、業です。菜穂子も二郎も、業であります。
空に焦がれた少年と、その焦がれる姿に恋をした少女。
とても幼い感情だからこそ、美しくて残酷であると思います。
空を飛ぶ。飛行機。
昔読んだライト兄弟の伝記でも、飛行機が戦争の道具になることについての苦悩が描かれていました。
飛行機だけではありません。ダイナマイトも、カメラも、パソコンも、GPSだって戦争の道具になります。
それを忘れてしまえない、人はそういうものだと思いました。
戦争もするけれど、美しいものであります。
それこそ使いようであって、本当に零式は美しい飛行機でありました。
「一機も、戻ってはきませんでした」
それでも、零は現在でもロストテクノロジーで、美しいものです。
ただの戦争の道具ではないと思います。
それを設計した二郎は、家庭も戦争も時代もなにもかもを犠牲にして、ひたすらに美しいものを追い続けたのかなと。
見方によってはいっそ残酷であります。
結核に冒されている菜穂子もそれを受け入れた上で、二郎の心の支えとして描かれています。
当時、結核に有効な薬はまだ開発されていませんでした。
できることは清潔と安静だけです。
それは延命手段でしかない、死を待つだけの暮らしと同義です。
サナトリウムを抜け出して、二郎を結婚した菜穂子。
彼女は恋に生きて恋に死んだように見えました。
一途な恋の、愛の物語であると思います。
それにしても流石ジブリです。風景を見ていて懐かしさが湧き上がる…!
なんでもない風景なのに懐かしくて、帰りたいと思うような描き方がされていて。
土の匂いや、雨の温度がわかるような描かれ方でした。
今度はもうちょっと落ち着いて見たいです。