スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

ひとめぼれ

登場人物
和也 これといった特徴のない平凡な大学生、面食い
遥希 和也に一目惚れした綺麗系のイケメン


俺はいつも通りの一日を過ごすはずだった。

「俺とおつきあいをしてください」

勢いよく差し出された手を呆然と見つめる俺。
がたがたと大きく震えるその手の持ち主は腰から90度に綺麗に頭を下げているので残念ながらその顔を見ることはできない。

だが、一つだけはっきりと分かるのは・・・

「すみません、俺、男なので男と付き合うとかできません」

そう、コイツは男だ

「いや、何かの罰ゲームにしてもわざわざこんな人気のない道で告白とかやめた方がいいですよ」

はっきりとお断りの言葉を彼に投げ、俺はその横り過ぎようとした。

「ま、待ってください!!」

ガッシリと手首を掴まれて反動で首が思いっきりカクンとなってしまい結構痛かった。
掴まれた手首は彼の汗でしっとりとしておりとても気持ち悪い。

「あの、決して冗談なんかじゃないんです。好きなんです。俺は、君が、好きなんだ」

「・・・いやでも俺たち初対面ですよ、そんなこといきなり言われても分かったなんていえないッスよ…」

「お、俺のこと気持ち悪いって思わないのであれば…少しは考えて欲しいです!!」

汗だくで、しどろもどろになりながら話す彼は、確かに美形なのにどこか男臭さも感じる。
正直、気持ち悪いかそうでないかと言えば好きだと言われてとても気持ち悪い・・・だが一生懸命な姿を見ると全てを否定してやるには可哀想だという気持ちも芽生えてくる。

「正直気持ち悪い。」

俺はなんと正直者なんだ。
案の定彼は勢いよく石化し、掴まれた手首にかかる力が大きくなった。

「だってさっきも言ったようにアンタのことよく知らないし男同士で付き合ってもなにもできることもないだろ?これほど不毛なこともない、アンタなら美人で可愛い女が山ほど釣れるだろうしさっさと諦めて・・・」

ここまで言ったところで掴まれたままの手首が勢いよく引かれた。
頭を彼の右肩あたりに強く打ち付けクワンクワンする。

お腹のあたりが苦しくなったと思えばどうやら俺はコイツの肩に担がれたらしい。
あまりの不安定さに思わず目の前にあったシャツを握りしめる。

「俺のことを知って、男同士でもナニかができるって分かればお付き合いしてくれるんですね!!」

そんなやたらと明るい声が聞こえてくる。
いやまてその考え方はどうかと思うぞと脳内で冷静な突っ込みを入れるが段々と変化する周囲の景色に血の気が引いていくのが分かる。
そんな・・・こっちの方はホテル街じゃないか!!?

じたばたと脚を動かし抵抗を試みるがそんな事はものともせずに彼の足取りは軽く、俺を運んでいく。

「やめろ!おろせ!」
「いやです、下ろしません!絶対気持ちよくしますから!!」
「や、やだやめろ・・・ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ」






今思えば俺は大層な面食いだ。
だからあの時大した抵抗もできなかったのも
俺も彼に一目惚れしてしまっていたからなのかもしれない。




認めたくないけど、とても気持ちよかった。




end
前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2014年05月 >>
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
カテゴリー