雨が上がったのに、そこは濃霧に包まれていた。
本当は、そこで待機していたほうが賢い選択だったと思う。
でも、そのおかげで私は彼らと出会うことができた。
歴史上でしか知らない彼らと同じ時を生きた。
最初は……辛かった。
信用してもらう。ただそれだけの事だと思っていた。
でも、彼らは少しずつ私を―――神薙 朔笶(かんなぎ さくや)を認めてくれた。
「お前、本当にあの人に似てるよ」
「君は……。
何のために刀を握っているのですか?」
「お前は、強い。
それはここにいる奴ら全員が保証してやるよ」
たくさんの年月のなか、彼らとすごした日々は宝物に等しい。
けれど、歯車は気づかないところで動き出していた。
「私は……貴方達を死なせたくないんですっ!」
「自己満足だろうと罵られても構いません!
それでも……。
時の流れに逆らってでも……私の命を絶つ事になっても、貴方達を護りたいんです!」