鳴り、続く
毒々しいオレンジ色の月と蒸せたアスファルトの匂い、その真ん中で浅川マキと桃井かおりの救いようのないブルースを垂れ流している。
あの頃思い描いていた未来とは大分違う方向に走ってしまったようだ。
幸せってやつは未だに降ってこないし、相変わらず煙草はやめられない。芯からバカにもなれないし、結婚とか出産とか、正直どうでもよくなっている。
ほんと嫌になるくらい、ギチギチと現実に押し殺されながら今を噛み締める。こんなにブルースが似合うような未来は考えていなかったよ。
おかしいな、誰が何がって、自分が一番不思議でならない。
おや、ああ、
もっともっと書きたいことがあったはずなのに。きみからの電話で、文字の尻尾をつかみそこねたや。
ああ、そうだムーミン谷の小説を読んだことがあるかな?1個目に、スナフキンと”はい虫”のお話があるのだけど、そのときのスナフキンの気持ちそっくりそのまま、だ。
そうそう、あれは優しい人生論で溢れてて面白いから、興味があれば読んでみてね。
あたしのブギウギ、誰か笑ったり泣いたり叱ってくれるような優しい人間がいるのだろうか
オレンジの月はいつの間にか隠れて、きみからの着信が鳴り続く。そっと時間を置いて、私は「もしもし」なんて言う。
きみとの未来だけはまだまだ知りたくないよ
また、あとでね
鳴り、続く2017/07/03 01:25comm@0
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